#2 いよいよ初めてのパリだが!
アンカレッジ空港での90分くらいの給油を終えいよいよパリへまっしぐら。
初めて見る北極の海は一面の氷。白い氷の上を月明かりが走るように映り込んでいた。
スカンジナビアデンマークかスエーデン辺りから大陸へと景色は変化していった。
暗い大陸を街の灯りがイルミネーションのように見えては消えて行く。スチュワーデスのアナウンスが入りいよいよ到着の前に朝食そしてパリへという事だった。
フランス語の案内はとても新鮮であった。
此の頃はアジアからの便はドゴール空港ではなく、パリの南にあるオルリー空港だった。
パリの南の畑に囲まれた成田のような空港へとゆっくり着陸。
広い空港をあっち、こっちと案内板をたどり荷物を持って到着ロビーへ、まずは入国審査。
アメリカに比べると本当に簡単な入国であった。パスポートを投げつけ返され腹がたった。
習慣も文化も違うことを感じていた。
次は荷物を受け取り税関を通過。
実はフランスのプロデューサーが来日時に置いて行った荷物を山積み状態で持って来ていた。
少し心配であった。
プロデューサーからは何も問題ないので自分の荷物だと言って通過すれば良いと
指示を受けていた。
言われた様に何も無く無事通過。びっくりした。
いよいよ到着ロビーへ。
そこにはショーファーと共に僕らの面倒を見てくれる担当の女性、
プロデューサーが出迎えていた。
ベンツが乗り付けられ荷物をトランクに積み込み始めた。
荷物を積む間、フランスのタバコ、ゴロワーズを薦められ早速燻らせていた。
しばらくするとスーツを着た二人の紳士が声をかけてくる。
フランス語で何か話をしている。
プロデューサーが荷物をトランクからおろし始める。
どういう事情か全く理解出来ない。到着した時間は朝の5時くらいで外は真っ暗
さすがに旅の疲れも有りボーッとしていた。
何がおこっているのか全く判らない。
此の二人の紳士は税関員で此の荷物を持ち税関に戻り全てチェックし直しだとの事。
全ての荷物をカートに積み直し言われるまま税簡へ。
広いオフィスで事情説明、インタビューが始まった。
全てフランス語である。
フランス語は全く出来ない僕は日本人の通訳か、英語の通訳を要求。
しかし、ただただ黙って全ての荷物が開封され、誰のものか?
いくらかという事を一個ごとに聞かれる。
スーツケースはナイフで裂かれ手を入れ中を検証する。
もうまるで犯罪人扱いであった。
終わるまで我慢をするしか無いと覚悟。
調査が終わったのは夕方の4時。12時間近くを税関で過ごしたことになる。
自分の荷物以外は全て税簡に預け、解放される。
表に出ると冬のパリはそうしたもので、もう既に真っ暗。
車に乗る。
事情としてはフランス人から依頼されていた荷物は関税のかかる日本製品ばかり、
それを故意に持って来て無税で出た事が問題であり、
プロデューサーは「迷惑を掛けて申し訳なかった」と謝罪。
運転手は泥棒のたぐいと思い、既に懐に銃を用意していたと聴きこれもビックリ。
いよいよ高速をパリへ向かう。ラジオからキャロルキングが流れていた。
まるで違う音楽に聞こえる初めて聞くフランスのラジオ。
一路パリへ。まだ25歳の僕の挑戦が始まる。
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